6  憧れの買い取り売り場へ

入社2年目でハンドバックへ移動、、、

出世コースから外れた気分でかなりブルーでした。

しかも行った先のハンドバックの先輩たちからは、これからは甘くないぞ!的な

圧をかけられ、毎日こき使われる日々となりました。

ハンドバックの売り場は、当時の百貨店ではさほど重要視されておらず、

靴は収益の要としてとても重宝されていました。

そんな状態を横の売り場から先輩たちはずっと見ていたものですから、

靴売り場のメンバーに対してひがんでいたと思います。そんな卑屈な

先輩たちのいじめは本当にすごかったです。

唯一やさしく接してくれた女性の先輩と、一生懸命頑張りました。

当時の靴売り場はお客様も多く、販売員のほうが少ない状態でした。だから

さほど販売スキルがなくても販売することができたんです。

しかしハンドバックの売り場は来店が少なく、お客様の数よりも

圧倒的に販売員の数が多く、お客様の取り合い状態でした。

素早く声をかけないとまったく売ることができなかったんです。

靴売り場でそこそこ販売していた僕は、販売に自信を持っていたのですが

見事に自信を無くしました。

入社して初めて販売の難しさを知ったのです。

とにかく商品を覚えて、他の販売員がどんなことを話して販売しているのかを

一生懸命聞いてマネしました。

そんな努力をして1年経った頃、ハンドバックの買い取りゾーンを

担当することになります。

百貨店の中で、買い取りの自主売り場は花形。優秀な人材しか任せてもらえません。

当時ハンドバックの買い取りは始まったばかりで、まだ未完成でしたが

ようやく1年経って認められたと、とても嬉しかったです。

1年間で一生懸命販売を覚えて、何とかハンドバックを売るスキルがついてきたので

自身はありました。

ここで思いっきり努力の成果を見せてやるんだ!と意気込んでいったのですが意気込ん、

またまた挫折を味わいます。

そこはインポートバックの売り場で、価格も高く、感度も高い。

生半可な知識やスキルでは、まったく太刀打ちできない売り場でした。

そうして苦戦する日々が続く中、魔の販売研修が始まったのです。

外部の販売の先生が売り場にきて、徹底した現場研修でした。

そこでまづ練習させられたのは「いらっしゃいませ」の声出し。

とにかくお客様に届きやすいトーンで声が出るまで、売り場の真ん中で

何回も何回も「いらっしゃいませ」の声出し練習をさせられました。

これは結構恥ずかしかったですね。

それとアプローチの練習。 お客様が商品を手に取った瞬間にお声がけする

スキルを徹底して磨かされました。

僕はどちらかというと、お客様にじっくり商品を見てもらい、それから

お声がけするほうが、お客様にとっても良いという考えでした。

しかしその先生はこう言いました。

「お客様は自分が感じたこと以外を言われることが最も嫌なのです!」と。

お客様が商品を手に取った時、「色」や「デザイン」、「価格」など何かの要素に

魅かれたから手に取るのであって、それを素早く察知し「色」なら、

「きれいな色ですよね?」

と共感できる、お客様が「そうですね」と言える言葉を第一声でかけなさいと

徹底して教えられました。

その先生は共鳴共感ベース と言っていました。

この練習が本当にハードでした。 先生がやみくもに手に取る商品に対して

共感する言葉をかけていくんです。販売は顧客心理を読み取ることであると

徹底して教えられました。

アプローチを早くすることに関して、本当に抵抗があった僕は、この技術を

習得するのに半年かかりました。

しかしこの訓練で理解できました。販売はアプローチが早いほうが、圧倒的に

販売につながるということです。

その成果を実感することで、僕の販売スキルはぐんぐん上がっていきます。

1年後には、当時販売額NO1の女子社員と変わらないスキルを身に着けたのです。

続く、、、