4 百貨店の売り場形態について

僕が配属になった婦人靴売り場は、百貨店の中でも自主編集を行う、当時では

専門性の高い売り場でした。

百貨店の売り場にはいろいろな形態があります。

1.テナント型

これは解りやすくいうとショップですね。ブティックなんかがこれに当たります。

箱型なんかで呼ばれたりもします。 品揃えから販売員まですべてそこの

ショップにお任せです。百貨店はそのお店の売り上げの20~25%ぐらいを

利益としてもらいます。

仮にそのお店で月10,000千売れたら、百貨店の利益は2,500千です。

当時どこの百貨店も8割ぐらいはこのタイプのお店の集合体でした。

メリットは何もしなくていい事です。特にショップのメンバーが頑張ってくれれば

必然的に利益が上がります。

2 自主編集型

これは俗にいう「平場」です。壁のような囲いがなく、広い空間でアイテムが

並んでいます。 販売員も取引先と百貨店社員の混合です。

どこの百貨店も婦人服、婦人雑貨において、差別化を図り自主編集売り場を

作っていました。

自分たちである程度仕入れて、売り場を自由に拡縮しますので、収益が

先ほどのショップ型に比べると高くなります。

平均して30%ぐらいの収益が出ます。

当時は靴売り場は自主編集売り場の花形で、専門性が高く、百貨店においても

収益性の高い売り場として、どこの百貨店も多くの人材を投入していました。

自分たちで仕入れから販売まで行いますので、百貨店の中でも商売のスキルが

身につくんですね。

3 完全買い取りショップ型

これは商品を完全に百貨店が買い取って、自分たちで売るスタイルのお店です。

僕が知る限りこの形態を貫き通せた百貨店はありません。

完全買い取りですので収益はとても高いです。平均で35%ほど。

完全買い取りは非常にリスクがありますが(不良在庫が出る)、収益性が

高いことから、どこの百貨店も、特に靴売り場ではコーナーを構えていました。

主にインポートシューズの取り扱いをしていましたね。

靴売り場は上記に1~3の形態のミックスで成り立っており、他のどの売り場よりも

複雑で収益性の高い売り場として重宝されていました。

当時の私は形態2の自主編集売り場に配属されて、それこそそこにある商品は

なんでも売れ!という指示でした。

平場である程度経験を積んだ後、継体の完全買い取りの売り場に配属されることが

出世コースだと思います。

完全買い取りは適量なバイイング能力と、高度な販売技術が必要だからです。

バイイング力は販売をしている人が圧倒的に有利です。物を見極める目が

必然的に養われるからです。

販売力は高額になればなるほど、高いスキルが必要となります。

安い食品や、靴下なんかはそこら辺のバイトでも販売できますが、

高級なインポートシューズともなると、相当の販売力がないと

中々売ることができません。だって国産なら10,000円のところが、

インポートは15,000円とかになるわけです(同じクオリティーなのに)

それをお客様に納得させて販売することは、至難の技です。

出世コースに乗った僕は、販売実績を積んでさらに上の売り場を目指して

頑張ることになるのです。

続く。。。